呼び出し
 22

貪るようにセックスをして、いつ終わったのかもわからないままに、泥のように眠った。

 友里は目が覚めた時、一瞬自分がどこにいるのかさえ分らなかった。

 次第に記憶が蘇るとともに、昨夜の痴態さえも思い出して、赤面する。

 省吾の存在を捜してみるが、気配はどこにも感じられなかった。
 また、一人置いていかれたのだと知る。

 胸の辺りが、ちくちくと針で突つかれたように痛む。

 彼にとって自分の存在は一体なんなのだろうと思う。

 ただの性欲処理だとは思いたくない。

 使いやすいただの駒……?
 それとも新しい玩具なのか……。

 考えただけで、陰鬱となった。
 だが、そもそも友里本人でさえも、省吾にどうして欲しいのか分らなかった。

 友里は節々の痛む躯を引きずるようにして、シャワーを浴びた。

 躯に残る情事の跡をみると、昨夜の激し行為が蘇り、躯が熱を帯びる。

 友里は頭を振り、冷水を浴びた。
 日増しに淫らになっていく、躯が怖かった。

 バスルームから出た直後、電話のベルが鳴る。
 友里は慌てて電話を取った。

 電話の主は省吾だった。

『やあ、おはよう。もしかして起こしてしまったかな?』

 声を聞いただけで、友里は嬉しくなった。

「いえ、今シャワーを浴びたところです」

『そうか、なら良かった。昨日はいろいろとご苦労だったね』

 友里はどう答えたらいいか分らなかった。
 返事を困っている様子に気づいたのか、クスクスと笑い声を省吾が漏らす。

『君のショーは随分評判が良かったようだよ。あの後、君が一体誰なのか話題になっていたそうだ。あそこにいたのは政財界の重鎮も少なくないからな。もしかすると、近いうちに友里には働いて貰うことになるかもしれない』

 省吾はとても機嫌が良かった。
 最初から、それを狙って友里をショーに出したのだと知った。

 あんな人前で放尿までさせられて、それも全部会社の利益の為だと思うと、爪先まで冷たくなった。

 シャワーを浴びたばかりだというのに、躯まで冷え冷えと凍えそうだった。

『まさか、嫌とは言わないだろう?』

 省吾の口調には、当然友里が逆らう訳がないと思っているようだった。

『成功すれば、またご褒美をあげよう。友里の大好きなアレをいっぱい与えてあげよう』

 甘く艶めくような声で、省吾は囁いた。

 それだけで友里は腰が砕けそうになる。

『それまでは、お預けだからね。でも、友里がもっと男を愉しませることができるように、いろいろと教えてあげよう。昨日の道具でちゃんと括約筋も毎日鍛えないといけないよ』

 まるで悪魔のように、残酷な男だと友里は思った。

 だが……それでも、友里は省吾に逆らうことはできなかった。

「はい……」

『友里のことはとても期待しているんだよ』

 省吾の期待……。
 それは自分の躯で仕事を取るということだ。

『私の期待に答えてくるのだろう?』

 甘い声で省吾は惑わせる。

「僕ができることならば……」

 まるで胸がえぐれるように痛い。それでも省吾の期待を裏切りたくないと強く思う。

『大丈夫だ、君ならできるよ。友里の躯は最高だからね』

 上機嫌にクスクスと笑う声がした。

 省吾には友里の表情が見えていない。

 血の気のない顔をして友里は小さく震えている。
 苦しくて堪らなかった。 

『今日はゆっくり休みなさい。また月曜に会社で会おう』

 省吾から電話が切れた後、ツーツーと規則的な機会音がいつまでも響いていた。

 END

 

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