満員電車の恋

中年×少年
ショタ,痴漢,強姦


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 01

 その少年を見かけるようになったのは、今年の春頃からだった。

 最初に目を奪われたのは、その整った顔立ち。

 すごく可愛い子がいると思った。

 少女と見まごうばかりの面持ちで、肌は色白、瞳は大きく、睫がとても長いのが印象的だった。
 
 有名私立の制服を着ていなければ、少年かどうか見分けがつかないほどだった。
 
 きっと今年中学生になったばかりなのだろう。まだ背の小さな彼は、いつも大人に挟まれて窮屈そうにしていた。
 
 サラリーマンの鞄が頭に当たっても、OLのお姉さん達に胸を肘で押されても、黙って我慢している彼がどうにも気になった。

 きっと大人しくて気の弱い子なのだろう。
 
 いつしか私は、毎朝電車で彼を捜すようになり、彼を見かけると嬉しくなった。

 私は毎朝、彼に会えるのを楽しみにするようになっていた。

 どうやら私は、彼に恋をしてしまったらしい。

 息子よりも年下の少年に恋をするなんて、どうにかしていると悩んだ時もあった。

 だが彼を見て、少年のようにときめく心は押さえようがなかった。

 なにをするわけでもない。ただ彼を見ているだけで幸せだった。

 その朝も、今日の電車に彼が乗っているかと胸を弾ませながら電車を待つ。

 今日は電車の扉が開いた瞬間に、彼を見つけることができた。どうやら、彼は最後に乗り込んだようだ。

 そして、どんな運命の巡り合わせか、人波に押されて気がつくと、私のすぐ目の前に彼がいた。

 もう私の喜びようときたら、言葉にすることもできないほどだ。

 近くでも見ても、やはり彼は美しかった。伏せられた睫は見蕩れてしまうほど長い。

 そして、シャンプーなのだろうか、ふんわりといい匂いがした。

 ブレーキやカーブにかかる度、彼の細っそりとした躯が私に密着する。

 彼の体温まで感じてしまい。私の心臓は煩いぐらいに高鳴った。
 彼にまで聞こえているのではないかと、疑がうほどに。

 私は幸福だった。ずっとこのままで時間が止まってしまえばいいと思った。

  下車駅まで三十分、たったそれだけの時間しか残されていない。
 それまでの間、私はたっぷりこの幸福を味わうつもりだった。

 そのはずだったのに……そんな幸福は長くは続かなかった……。

 駅を出てさほど経たないうちに、なぜか彼がもぞもぞと動き出した。
 周りをどうにも気にしている様子だったが、なにを気にしているのか分からなかった。

 カーブもないのに、彼の躯が大きく傾いで、私の胸にドンっとぶつかった。

「あっ、あのごめんなさい……」

 小さな声だったが、想像していたとおり、まだ変声期前の高い綺麗な声をしていた。

「大丈夫、別になんでもないよ」

 私は緊張しながらも微笑んだ、少しでも彼に良く見て貰いたい。

「あの本当に、すいませんでした」

 彼はそう言うと、恥ずかしそうに俯いた。

 思ったとおり、彼はずいぶん内向的な性格のようだ。
 そんな彼を私は微笑ましく思う。

 しかし……やはり今日の彼の様子は可笑しい。
 見る見る間に、彼の頬が赤くそまり、少し震えているようだ。

 もしかして熱でもあるんじゃないだろうか?
 私は不安になった。

 声を掛けるべきか、私は迷った。
 声を掛けたところで、この鮨詰め状態ではなにもしてやることもできないが。

「うっ……くっ」

 押し殺すような声が漏れた。 
 
 やはり、このまま放っておくわけにはいけないと声を出そうとした瞬間、私のの太ももに何かが当たった。



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