試練

 15

 友里は身体くねらせて、ハァハァと熱い吐息を吐き出す。

 身体中が疼いて堪らないのに、いつまで経っても刺激が与えられることはない。

 気が狂いそうだ。

「友里、触って欲しいか?」

 絶妙なタイミングで調教師が問う。

「…欲しい…触って…」

「どこをどうして欲しいか、具体的にねだれ。俺はお前が懇願しない限りなにもしない」

 刺激を与えられないもどかしさに気が狂いそうになり、友里は調教師の意図を察した。

 かと言って、自分がこの誘惑に勝てるはずもないことはよく分かっている。

「ち…乳首を…弄って…」

 友里が言うと、調教師の指が友里の乳首に触れる。
 待ちに待った刺激のせいか先っぽに触れただけで友里の全身に快感が触れる。

 しかし、調教師の指はいつもと違って単調に押すだけで酷くもどかしく、体の疼きは増すばかりだ。

「ほら、どうした。お前がちゃんと言葉にしなければ、俺は何もしないぞ」

 憎らしいばかりだが、今更どう取り繕ったところで体が欲情に支配されていることを男は自分以上によく理解している。

「もっと…強くっ…抓って…グリグリって弄って…」

 体の火照りが、疼きが……止まらない。

 男の指がギュウウウッとキツク抓りあげると、体中を強い快感が駆け巡る。

「あひぃ…アァアアアッ!!」

 たったそれだけの刺激で口元からよだれが溢れた。

「いいっ…アッ…あぁあああっ…ンンッ! もっとぉ、もっと、グリグリって…してぇ」

 頭の中は快感しか考えられなくなる。
 まるでスイッチがオフになったように、モラルや羞恥というものが思考から切り離される。

「乳首だけでいいのか?」

 悪魔のように男が囁く。

「やっ、やぁ…お尻もぉ…お尻も欲しいっ…」

 すでに体の奥がズクズクと疼いて、散々に男達に犯され散々に快感を覚えさせたれたアナルはまるで自分の体でないないみたいに、男の性器を欲しがって哭いてた。

 友里は自ら足を広げ、男の前で腰を振っていやらしくねだる。

「もっと淫乱にねだって見せろ」

「アッ…って、ココッ…あんっ、ここぉ、友里のっ…友里のおま◯こっ、おま◯こっに…おっきいのっ…おチ◯ポッ、下さいっ…」

 友里はアナルを指で広げて見せた。意識もしていないのに、その穴はもの欲しそうにぎゅうぎゅうと指を締め付けている。

「随分はしたなくねだるようになったじゃねーか。そんなにココに欲しいか?」

「あんっ…欲しいっ…おチ◯ポっ…おチ◯ポっ…挿れてっ…挿れてっ!」

 男に焦らすように縁を何度もなぞられると欲しくて欲しくて欲しくて頭が狂いそうだった。
 ここに来て数日、男に与えらえる快感が全てだった。あれほど恥ずかしさと嫌悪を抱いていた行為そのものが通常と思えるほど、何度も何度も気がおかしくなるまで犯され続けたのだ。

「挿れて欲しけりゃ、犬のように這いつくばってねだれ」
 
 言われるがまま、四つん這いになって尻を上げる。局部の全てを見せる格好だった。

 男の手が腰に添えられて、熱いモノが太ももに触れる。ようやく与えられる快感への期待で体も頭もアツくなる。

 硬くて熱い男の性器が中を貫くと、それだけで中が痙攣した。

「あひっ、ひぃいいいい────っ!!」

 ソコが擦れると痺れるような快感が脳ズイまで貫いていく。

「ほらほら、挿れるだけでいいのか?」

 男は軽く擦りあげるように前立腺を擦りあげる。

「ダメッ…突いてっ…いっぱいっ…突いて、グチョグチョにしてぇ…」

 自ら腰を振って快楽を貪ろうとするが、友里の腰を掴んが男の手はピクリとも動かない。

「今は自分でするのは禁止だ。欲しければねだれ。口に出せばなんでも聞いてやる。こんな風にな」

 男は友里の望みどうり、深く奥を貫き、何度も何度も突き上げる。

「あひぃ…アアッ、良いっ…もっと、奥っ…ひぃいいっ」

 友里の口元からは唾液が糸を引き、そこから漏れるのは卑猥なことばと、淫らな嬌声だった。

「おら、どうだ俺のチ◯ポの感想は?」

「アアッ…大きいっ、んっ…チ◯ポっ、気持ちっ…ひぃいいッ…太いのっ、ゴリゴリって…イイのっ」

 まるで盛った雌犬のように友里は快楽を貪っていた。

 もう何も考えなくていい。
 僕はただこんな風に男に抱かれて感じるだけの人形でいればいい。
 省吾さんがそう望むのなら、サクセロイドにだってなってもいい。
 
 ココでは思考を持っているより、本能のまま従う方がずっと楽なのだ。
 それでも友里はほんの一欠片の矜持を捨てることができなかった。手のひらの中にずっと大事にギュと握りしめていたのに、次第に心が削られていくのと同時に強く握りしめていたはずの握力が次第になくっていく。

 好きでもない男たちに弄ばれ、それでも快楽を感じる自分に、はたして存在意義などあるのだろうかと。

 男に貫かれる度、背骨がドロドロに溶けるような快楽が走る。
 友里はもう自分はこの快楽なしに生きてはいけないと思った。
 そして、そんな自分が省吾を愛する資格もないのだと。

 不思議と涙は出なかった。
 ただ虚ろだった。心にぽっかり穴が空いたように。
 快楽だけがその穴を埋めてくれる気がして、男に何度も強請る。

「もっと、もっと深くぅ…ひぃ、あぁあああっ、擦ってぇ、おチ◯ポっ、ほしぃ!!」

 卑猥な言葉で男に媚びを売ることも厭わなくなった。
 
 ああ…このまま、このまま快楽の海に溺れてしまいたい────。

 そう思っていたのに、それは突然に友里が思ってもいなかったことで終わりを告げる。

「そこの男、今すぐ彼を離しなさい」

 突然降ってきた声に友里は聞き覚えがあった。しかし、快楽に支配されている友里にとっては、その声の主よりも調教師が与える快感が絶対だった。

「やだっ、欲しいっ、もっとぉ…おチ◯ポっ、友里のま◯こに下さいっ」

 しかし、卑猥な格好で腰を振り、どれほど強請っても男はそれから友里には触れなかった。

「やめなさい、友里」

 声の主は、友里の目隠しを取った。着けられてから一度も外されたことのない所為で、しばらく視界は眩しい白い世界だった。

「私は君にこんなことをさせる為に城崎に譲ったわけじゃないんだよ」

 次第に視界がゆっくりと鮮明になっていく。そして自分を抱きしめているのが誰なのかをようやく理解した。

「高津…専務…」

 いつも紳士然とした高津が怒りを隠そうともしていなかった。

「あっ…服がっ、汚れてっ…」

 彼の高級そうなスーツが自分の汗や体液で汚れてしまっていた。

「そんなことはどうでもいい。私は怒っているんだよ」
「す…すいません」

 昔から年上の男に叱られるとどうゆうわけか酷く萎縮してしまう。高津を怒らせてしまったと思うと、思わず謝罪の言葉を口にした。

「君にじゃない、城崎にだ」

 城崎は社長の氏である。

「こんな悪趣味なことを思いつくのは、どうせ有川辺りだろ。あのバカめ、有川なんぞの甘言に唆されおって」

「アアッ…た、高津…専務っ…ンンッ」
 
 こんなに機嫌の悪い高津を目の前にしているというのに、友里の昂ぶりは治らない。それどころか、擦れる肌や高津の発する体臭が、彼との情事を思い出させて、彼の雄が欲しくて堪らなくなる。

「欲しいっ…下さいっ、専務のっ、コレっ、大っきいいの…友里に、下さい」

 高津の股間へと手を伸ばし、即物的な快楽を求める。

「友里、これを飲みなさい」

 高津は困ったように眉を寄せて、何かの錠剤を水と一緒に飲ませた。
 
「飲みました。飲んだから…下さい。友里のおま◯こっ…が疼いてっ、苦しいっ…アンッ、もう、おかしくなるっ…」

「ダメだ。今の君には毒にしかならない」

「イヤッ、なんで、そんな酷いっ…欲しいっ、専務のおチ◯ポっ、欲しいっ、下さいっ…!!」

 悲壮な顔で自分の性器を求める友里を、高津は辛そうに見つめる。

「大丈夫、すぐに眠くなる。今はなんにも考えずにお休み…」

 高津は大きなてで友里の頭を撫でる。
 こんなに酷く飢えているというのに、眠れるはずなんてないと思っていたのに、次第に友里の意識が混沌としていく。
 ああ、あの薬は睡眠薬なのだと理解する頃には完全に友里の意識はなくなっていた。  

 


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