Birthday
中年×少年
10周年記念企画/アンケート1位作品
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本来なら、極上のフレンチでも予約したいところなのだが、真澄が喜ぶとは思えなかったので老舗の洋食屋で夕食を取ることにした。
予想どおり、オムライスを美味しいそうに頬張る真澄を見ているだけで私は満足だった。
メインを食べ終わり皿が下げられると、急に店内が暗くなる。スポットライトのようにその一部だけ明るくなる。その瞬間にhappy birthday to youのメロディーが流れ店員がバースデーケーキを持って現れる。最初は少し驚いた様子で見ていた真澄だったが、店員が自分の前で止まると酷く焦った様子で『えっ、えっ…』と私とケーキを何度も見直して、私が頷くと口元を両手で隠すようなポーズで感激する。
こんなちょっとしたサプライズでごんなに喜んでくれる真澄がますます愛おしく思う。
「ありがとう、仁さん。僕凄く嬉しいです」
ふふふっ、ケーキぐらいで喜んで貰っては困るのだ。
「お礼にはまだ早いよ。さあ、これも受け取ってくれ」
あらかじめ用意していたものを紙袋から取り出して、その綺麗にラッピングされた包みを真澄に渡す。
「ありがとうございます。開けてもいいですか」
「ああ、いいとも」
真澄が包みから取り出したのは両手に乗るほどの大きさのテディベアだ。
「可愛い…ありがとうございます」
真澄ぐらいの男の子が喜ぶかどうかは疑問だったが、これなら誕生日プレゼントを貰ったと親に言っても問題ないだろう。
だが、こんなぬいぐるみでも素直に喜ぶ真澄が愛おしく思う。高価なゲーム機を買ってもニコリともせず当然のように受け取る家の息子とは大違いだ。
「実はね、プレゼントはこれだけじゃないんだよ。クマの背にファスナーを開けてご覧」
言われるがままに真澄がファスナーを開けると、直ぐにそれを見つけたようだった。
「仁さん…コレ…」
大きな瞳を見開いて真澄が私を見る。
取り出したのはごくシンプルなデザインのプラチナリングだ。
「本当は君の薬指につけてあげたいんだけど、身につける訳にはいかないだろうから、その子の中に入れて大事にして」
なんとか自分の気持ちを形にして真澄に持っていて貰いたかった。私は妻も子もいるし、真澄は未成年でそれも同性だ。これほどの困難な恋はないだろう。それでも…私が最も愛しているは真澄だけだ。もしかしてこの恋が自らの破滅を呼ぶ恋としても、止めることなどできなかった。
「ありがとうございます。大切します」
ぎゅっとくまの縫いぐるみを大事そうにだきしめる真澄に喜びと愛おしさで胸が苦しくなる。
真澄がケーキを食べ終わると私たちは店を出た。
「今日はホテルを予約してあるんだ」
前もって真澄には今日は泊まりになることを予告はしていた。
真澄がコクリと頷いて問題がないことを告げる。
ここのところお互いがすれ違いが続いていて中々会うことが出来なかった。だが私もこの日の為に少し前倒しに仕事をしていたのだ。
タクシーに乗りホテルに向かう車中で真澄の手を握ると、恥ずかしそうに俯くが、その手を振り払いはしなかった。
今にも押し倒して唇を奪いたい気持ちだったがそれは我慢する。
ホテルにつくと足早にエレベーターに急ぐ、チェックインは予め済ましていた。昔はフロントに鍵を預けていたが今はカードキーなのでフロントに寄る必要もない。
エレベーターの中には私たち二人以外は誰もいなかったが、無論ここでも真澄に手を出す訳にはいかない。間違いなくこのエレベーターには監視カメラが設置しているからだ。
部屋のある15階までが酷く遠い。それでもあともう少しで真澄に触れらるのだと思うと我慢できた。
エレベーターが着くとはやる気持ちを抑えながら部屋へと真澄を案内する。
真澄の誕生日に用意したのは最上階のジュニアスイートだ。少し値は張ったが私に今日は特別な日なのだ。
カーテンを開けると夜景の大パノラマが広がる。それと同時に部屋を暗くすると、まるで散りばめた宝石のように灯りがキラキラと光り輝く。
「凄くキレイ……」
その夜景にも負けない美しい瞳を瞬かせて真澄は感嘆する。
その顔が見られただけで、この部屋をとった価値はあった。
「真澄、先ほどの指輪を」
店で渡したばかりの指輪を渡すように促す。やはり私自ら真澄の指に嵌めて上げたかった。
真澄の手から指輪を受け取る。
「左手を出して」
差し出された手を私は恭しく取った。
「真澄、この指輪は私の決意だ。確かに私は妻も子もいる身で、君にとっては不誠実に思うかもしれない。それでも私は君を愛してる。君が望むなら妻も子も捨ててもいい。だが、そんなことを君は望まないのは分かっているし、私も自分の責務を無責任に放り出すことはできない。しかし、どれだけ時間をかけてもケジメをつけるつもりだ。それまで待っていてくれないか?」
真澄は少し潤んだ、熱っぽい眼差しで私を見ていた。
「はい……僕、いつまででも待ってます」
頷く真澄の指に私は指輪を嵌める。
「必ず、必ず全部精算すると誓うから」
まるでそれが神聖な誓いだとでもいうように私は真澄の指と指輪に口づける。たぶん、私は酔っているのだ。この遅すぎる恋に────。
その口づけが合図のように、今まで抑えていた理性の堰が切れたように欲望が燃え滾る。
唇を貪りながら真澄の服を脱がしていく。
しっとりとした滑らかな肌触りを愉しみながら、敏感な肌を撫でまわす。何度触れてもずっと触っていたい気持ちよさだ。時折、ビクンと体を震わせながら『ンッ』と甘い声を上げることも更に私を愉しませる。
真澄を全裸にするまでそれほど時間は掛からなかった。
薄暗い部屋に白い真澄の肢体は浮かび上がるようだった。
美しい真澄の躰。余分な脂肪も筋肉もなく、中性的でまだまだ少年の域を出てはいなかった。私は真澄の全裸を見るだけでも、いつも興奮する。
汚れのない無垢なこの躰を自分の欲望で汚すことに、どうしようもなく昂ぶってしまうのだ。
耳朶をなぶるように舐め、首筋に唇を這わせる。
「あぁああっ……」
真澄の唇から微かな喘ぎが聞こえた。
更に喜ばせようと、真澄の小さな乳首を指で摘む。慎ましい桜色の乳首は私の大好物だ。
「あんっ、あぁあああっ!!」
喘ぎが甲高い嬌声へと変わる。私は真澄をもっといじめたくて、その可愛い乳首を口に含んだ。すぐに硬くコリコリとした乳頭を甘噛みし、何度も音を立てて吸い付く。舌先でこね回しレロレロと舐めまわした。
「あっ、ひぃ、あぁ────んっ!!」
真澄は私の頭を抱えて、強請るように胸を突き出していた。
「どうだ真澄。私に乳首をなぶられて気持ちいいか?」
「あんっ、気持ちぃ…あひぃ、あっ、気持ちぃ…仁さんっ、チュウチュウ、気持ちぃいのっ」
素直に快感に躰を委ねて、悶えながらそう答える。
私は代わる代わるに何度も両方を乳首を弄りたくる。真澄も堪らないのだろう。嬌声を上げながら、くねくねと腰を揺らしていた。
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