Trip

 12

「真澄……」

 私は口づけを求めた。
 彼の甘い口脣。

 どうしてこんなに何度も何度も求めても、求めたりないのだろう。

 その後二人で浴槽に浸かった。だが、外の風景を眺めるより、互いを貪ることに夢中になった。

 座位のままで真澄を犯した。浴室に反響する真澄の嫌らしい声に欲情し、たっぷりと責め立てた。

 そのせいで、すっかり上せてしまった真澄を部屋に抱えて戻らなければならなくなった。

 その間にコテージのオーナーが食事を運んできてくれた。

 食事は自炊や外でバーベキューなどもあるが、どちらも面倒なのであらかじめオーナーに頼んでおいた。

 テーブルの上にスープやサラダとパン、色とりどりの7種類の前菜にメインはローストビーフと付き添えのハッシュドポテト。デザートにはスフレのチーズケーキと豪華なメニューが並べられていた。

「あれ、お嬢さんはまだお風呂ですか?」

 風呂上がりの私の格好を見て、オーナーはそう思ったようだ。

「いや、ちょっと疲れたようでベッドで横になっているよ」

「冷めない内に、お召し上がり頂きたかったのですが、残念です」

 食事がというより真澄に会えなったことが残念そうに見えた。

「大丈夫、そろそろ起しますから」

「そうですか、では食べ終わった食器などは、こちらのケースの方に入れて貰って玄関の方に置いておいて下さい」

「ああ、どうもありがとう」

 帰り際、真澄の姿を期待してか何度も振り返るオーナーに、私は心の中で優越感に浸っていた。

 さあ、真澄を起して食事を食べてから、またたっぷりと甘露な躯を味わうとしよう。

 私は緩む頬を引き締めることができなかった。

 ***

「真澄……起きなさい」

 躯を丸めて眠る真澄は、いつも以上に幼く見える。

 艶かしく快感に喘ぐ真澄もいいが、こうやって無防備に眠る姿も愛おしい。

 柔らかい色素の薄い髪が、白い滑らかな頬に掛かっているのを撫でつけるように掻き揚げる。

「さあ、真澄。朝だよ、目を醒ましなさい」

 真澄の躯は真っ白のままだ。
 情事の跡を残すのはリスクが高すぎた。

 彼の躯全体に私の愛情を刻み付けたいのに、いつもその衝動に私は堪えないといけない。

 だが、今回ばかりはその方が返って都合がよかった。

 だから唯一、跡をつけていい場所さえも今回は我慢した。

 これから彼に行なうことを考えれば、眠気さえもどこかにふっとんでいくようだ。

 事実昨日はほどんど寝ていないが、興奮していて眠気はない。

 昨夜はベッドに入って、私は二度ほど精通し、真澄は三度も射精して、そのうえドライでも二度達していた。

 本当はせっかくの泊まりなのだから、気を失うまで真澄を抱いていたい。だが、本来の目的のことを考えるとそこそこで我慢する必要があった。

「さあ、起きなさい。ピクニックに出かけるよ」

 真澄は眠い目を擦りながら、その愛らしい瞳を開く。

「真澄はこれに着替えて、私は朝食の用意をするからね」

 真澄に白いワンピースを手渡した。ノースリブに胸にはレースとリボンがあしらわれていて、スカート丈は膝より長く、風が吹けば棚引くようなフレアの形になっていた。いかにも清楚なお嬢様といった感じのワンピースだった。

 きっと真澄に似合うと思って、今日の為に買っておいた。

 まだ少女の格好をするのには抵抗があるようだったが、真澄は私に逆らわなかった。

 着替えを見ていた気持ちはあったが、私は朝食の用意をしなければならない。なにしろいろいろと段取りがあるのだから。

 


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