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Trip 13 服を着替えて、顔を洗ってきた真澄がテーブルにつく。 「これ、仁さんがつくってくれたんですか?」 テーブルの上に用意したのは、形の潰れたハムエッグとトースト、そして野菜サラダとあとは新鮮なミルクだった。 「ちょっと形が崩れてしまって申し訳ないが、味はたぶん食べれると思うよ」 作ったと言ってもハムエッグとパンを焼いたぐらいで、サラダは袋に入っているものを皿に盛っただけのもだ。 「いえ、仁さんが作ってくれたと思うと嬉しくて」 それがお世辞などではないと、真澄の笑顔をみればわかる。 ああ、俺は本当に真澄バカと言われても、彼が本当は天使なのじゃないかと本気で思う。 そしてそんな彼を穢してしまった自分のほんの少し罪悪感で胸が痛む。 美味しいです。と嬉しそうに彼は言う。 私はそれだけで胸がいっぱいになった。 「ピクニックって一体どこに行くんですか?」 食べながら質問する真澄に、私は秘密だと答えた。 「行けばわかるよ」 少し残念そうにしている真澄に、もう少しで口に出しそうになったが、ギリギリ思いとどまった。 まだ知られないほうがいい。 私達は食事を済ませるとさっそくピクニックに出かけることにした。 最初に向かったのは、ボート乗り場だ。コテージの宿泊客は無料で借りられることになっていた。 久しぶりのボートはなかなか上手く進まずに、右や左の旋回を繰り返し真澄に笑われてしまった。 僕が漕ぎましょうか、という申し出は私の沽券にかけて断った。 しばらくしてようやく操縦に慣れてくるとボートはゆっくりと前に進んだ。中頃まで来て、私は鞄の中からハンディーカムを取り出す。 「真澄との思い出を残そうと思ってね」 真澄にカメラを向けると真澄は困ったように俯いた。 「あの……ダメです。僕っ……こんな格好で……困ります」 「お願いだよ、真澄。どうしても私は今の君を映像として残しておきたいんだ。絶対誰にも見せないし、データの管理はきちんとするよ。だからお願いだ」 真澄は考え込むように俯いたままだった。 「本当に誰にも見せませんか?」 ようやく顔を上げて言った。 「ああ、もちろんだとも。私の独占欲は君も良く知っているだろう」 「わかりました……仁さんを信じます」 純粋な彼にほんの少し罪悪感を抱かないわけではないがしかたない。 本当のことを言えばきっと彼は承知しないだろう。 「ありがとう嬉しいよ」 それから私達はボートの上で少し遊んだ。 水面に身を乗り出して手を伸ばす真澄にボートを揺らしておどしたりもした。 ボートの上の真澄の映像もたっぷり映して、私達は対岸の船着場へとボートを寄せる。 ボートのロープを木の杭に掛けて、ボードが流されないように固定して、私達はその先の森へと足を踏み入れる。 時折小川に足を入れて休憩したり、景色のいい場所で真澄を撮影したりして、私達は森の奥へ奥へと進んでいく。 小1時間も歩いたぐらいで、開いた場所にでた。 私の目的はこの場所だった。 「すごい、仁さん。白くて可愛い花がいっぱい咲いてるよ」 走り出す真澄に私はカメラを向ける。 ズームで寄って真澄の笑顔を映す。眩しいぐらいに綺麗だった。
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