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 14

 彬也は零さないように内ももに力を入れながら、冷たさと快感の両方と戦っていた。

「あんっ……ダメっ……こぼれちゃう……吸ちゃだめぇ……」

 すでに彬也のペニスは勃起していた。その先端に泰典が吸いつく。

 チュパチュパと音を立てながら、吸い付く泰典を見ると、更に彬也は興奮した。

 最後の一滴がようやく注がれて、泰典が全部飲み干す。力を緩めた時には、力の入れ過ぎで筋肉が痙攣していた。

 気が弛んだせいか、緩くペニスに吸いつかれただけで、彬也は泰典の口の中に射精した。

「あぁあっ……ごっ、ごめんなさい」

 彬也が勝手に射精することは許されていなかった。
 泰典の次の反応が怖かった。
 
「誰が勝手に達っていいと言った」

「ご、ごめんなさい……ボ、僕、ほっとしたらつい……出ちゃって……」

 泰典の表情から感情が消えていた。こうゆう時は酷く怒っている時だった。

「それだけじゃないだろ。すでに一度、射精したな?」

 ハッ、と彬也の顔が強張る。

「おとうさんは嘘をつかれるのが大嫌いなんだ」

「あっ……」

 彬也は青ざめた。泰典は雰囲気から、怒りを漲らせていることがわかる。

「ご、ごめんなさっ……ぼ、ぼ、僕……嘘をつくつもりな、なんて……」

 恐怖に彬也は呂律さえも回らなかった。
 怒りに支配された泰典はなにをするかわからなかった。残酷なことも平気でするのだ。

「平然と言いつけを守ったと返事しておきながら、嘘をつくつもりはなかったって言うのか?」

 泰典に髪を、皮膚がつるほど引っ張られて、痛みで涙がでた。

「やっぱり、あの女の子供だな。平気で嘘をつく」

「ご、ごめんなさい……お父さんに怒られると思って、怖くて言えなかったんです……」

「そんなことが言い訳になるか、やっぱり、あの女の子供なんて信用できんな。お前のような嘘つきは、ここにはいらん。勝手に出て行け」

 泰典は彬也を床に放り投げた。
 フローリングに頭と背中をおもいっきりぶつけて、痛みと衝動で、少し息ができなかった。
     
 それでも寝転んでいる場合ではなかった。
 彬也は痛む躯を押し、上半身を起こすして、土下座した。

「ごめんなさい。もう二度と、嘘はつきません。だから、お願いです。僕をここに置いてください」

 どれだけ酷くされても、それでも彬也は泰典の傍にいたかった。
 
「もう、絶対に嘘はつきません。お父さんの言うことにも逆らいません。だから、お願いです。僕を許して……ここから追い出さないでください。お願いします……お願いします」

 彬也は何度も床に額を擦り付け、何度も頭を下げた。

「もういい、頭を上げろ」

 顔を上げた彬也の顔は、涙と鼻水でグチョグチョになっていた。

「ニ度目はないからな」

 泰典の言葉に、今まで悲愴な表情をしていた彬也の顔が、パッと雲が晴れたように明るくなった。

「うん……ありがとう、お父さん」

 彬也は涙を拭おうとするが、素手では広がるだけで、綺麗にはならなかった。

「こっちに来なさい」

 泰典の呼ばれて、彬也は隣に座った。泰典はソファーの横に置いてあるティシュを数枚抜き取ると、それで彬也の汚れた顔を拭いてくれた。

「ほら、鼻」

 そう言われて、まるで幼児のように泰典に鼻水を拭いて貰うなんて、恥ずかしかったが、羞恥を抑えて鼻をかむ。

 こうして貰うと、本当に以前の泰典に戻ったようで、胸が温かくなる。

 いや、今は冷たくあしらわれているだけに余計、ふいに優しくされると、たまらなく嬉しかった。

 お父さんが好き……。
 大好き……。

 言葉にできない想い。
 だから、心の中で何度も呟いた。

「だが……お仕置きは別だからな。お前がもう二度と、私に嘘などつけないように、あとでたっぷり、お前の躯に教え込んでやる」

 泰典は嗜虐の笑みを浮かべていた。

 ゾリクと背筋に這う震えは、恐怖だけでなく、官能をくすぐられたからだった。

 


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