蜜月

 08

「アアッ……パパッ……パパぁああっ!!」

 貴哉の動きが激しさを増す。

 心が重なりあっているからこそ、貴哉も智則と同じ気持ちなのがわかる。

 獣のように腰を振り、法悦に顔を歪ませる。

「アアッ……イイッ……アァアッ!!……悦いっ……パパッ、アァアアッ!!」

 とてもじゃないが、もうジッとはできなかった。

「貴哉っ……もうっ……堪らんっ……ウウッ……貴哉っ……」

 貴哉の腰を掴むと、下から思いっきり突き上げる。

「ひぃいいいいん!……アアッ……パパッ……パパッ……」

 パンパンとぶつかる肌から音が鳴り、汗が飛び散る。

 ジュブジュブと擦れるところが気持ちが良すぎて、そこだけが研ぎすまされて、まるで別のもののようだ。

「パパッ……イイッ……パパッ……イクッ…イクッ……アァアアッ!!」

 うわ言のように貴哉が呟く。もう意識などないようだった。

 智則も本能だけで激しく腰を動かしていた。

「パパッ、イクッ……イッちゃうのぉ……ひぃアアアアアアッ!!」

「パパもっ……出るっ……貴哉の中にっ……くぅううっ……」
 
 貴哉は背を逸らせ、全身を震わせて痙攣を始めた。

 智則はひとたまりもなく、その内壁の蠕動に欲望を吐き出す。

 二人は同時に絶頂を迎え、悦楽の極みを味わった。

「あんっ……パパっ……気持ち良くて死んじゃうよぉ……」

 激しく智則のペニスを搾乳するように絞る貴哉に、智則も同じく与えられた快楽に酔っていた。

「パパも……死ぬほど、気持ちがいいよ……」

 本当に、このまま死んでもいいとさえ思う。

「んんっ……あぁあんっ……」

 甘い声で鼻を鳴らし、貴哉の肉筒は何度も蠕動を繰返していた。
 それだけ深い快感を味わっているのだろう。

「パパの……スゴイ……」

 うっとりと恍惚な笑みを浮かべて、貴哉は倒れ込むように智則の躯の上に重なった。

 ハアハアと激しく息を切らせながら、貴哉の表情は満足げに微笑んでいた。

「パパ……僕、すごく幸せ……」

「ああ、パパもだよ……」

 智則は華奢な貴哉の躯を抱き締める。

 この腕の中にある温もりが、智則にはなによりの宝だった。

「パパっ……僕……もっと、パパと一緒にいたいのに……なんだか……眠くて……」

 もう随分夜も深かった。

「いいよ、もうお休み貴哉」

 汗で湿った髪を撫でてやる。

「やぁ……せっかく……明日は……休み……な…の…に……」

 気持ちとは裏腹に、睡魔は貴哉の意識を鈍らせていく。

 酷く目蓋が重そうだった。何度も開いては勝手に降りていくようだ。

「大丈夫、パパはずっと貴哉の傍にいるから、安心してお休み」

「んっ……パパっ……や…く…そ……く……」

 とうとう目蓋は閉じられたままで、再び開かれることはなかった。

 スウスウと単調な呼吸に、眠ったのだと知る。
 眠っている顔は、純真な子供のままだった。

「パパはずっとずっと貴哉の傍にいるよ……」

 それが例え、それほど長くないとしても。

 智則は今が幸福すぎて怖かった。
 先の不安や恐怖は、いつでも智則に付きまとってる。

 それでも、貴哉の幸せが智則にとっては一番大切なものだった。

 貴哉の幸福の為ならなんでもしよう。

 貴哉の邪魔になるものは全部、私が排除する。

 例えそれが自分自身であったとしても。

 智則はそっと貴哉の額にキスをする。

 それはまるで貴哉への誓いのようだった。

 END


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