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Real 06 そして、俺は気づくとさびれた倉庫に連れ込まれていた。 両手を封じられ、男達に取り囲まれて、目の前にはナイフを振り翳す男がいる。 俺は恐怖にただ息を飲む。 振り降ろされた切っ先に、俺は思わず目を瞑った。 しかし、予想された痛みはなぜか、いくら待ってやってくることはなかった。 何かが撫でるように、胸から腹まで滑っていった。 吹き出すように誰かが笑った瞬間、皆が爆笑する。 「見たか、あの顔っ!」 嘲笑われているのが自分だと知って、俺は羞恥で顔が赤くなった。 目を開けると愉快そうに笑う少年達がいた。 「俺がナイフで刺すと思った? 残念だけど、このナイフは刺す為のものじゃねーの」 からかうように話す少年を、俺は睨み付けた。 「おい、大和。あんまりお兄ちゃんをからかうなよ。お兄ちゃん、ビビっておしっこ漏らしちゃうかもよ」 どうやら黒髪の少年は大和と言うらしい。 茶髪が多い中で彼だけが黒髪の短髪で、司と同じ……いや、それ以上に体格が良くて、とても年下とは思えない。 どうやらこの大和という少年がグループのリーダーのようだ。 「大丈夫だ、タツキ。このお兄ちゃんはそれほどチキンじゃねーよ。ねえ、お兄ちゃん?」 わざと馬鹿にしたように彼らは俺を『お兄ちゃん』と呼ぶ。 「ああ、ホント。こんな状況で俺達を睨んでくるぐらいの根性はあるみたい」 タツキと呼ばれた少年も背は高かったが痩身だった。耳や鼻に口脣にと至る所にピアスだらけで、少し線の細い美形だった。 「でも、お兄ちゃん。自分がなにされたか気がついてるの?」 ニヤニヤと人を馬鹿にしたように、タツキが笑った。 「んんっ……」 身を少し捩った瞬間に、前がはだけた。 ボタンが滑り落ち、コロコロと床を転がって行く。 「あんたが助けたあの男が、一体なにをしかた教えてやろうか?」 大和はナイフの刃を寝かせて肌の上を滑らせる。 金属の冷たさが、チリチリと肌を逆立てる。 大和は俺の耳元に口脣を寄せた。少年とは思えないほどの低音の声で囁く。 「いたいけない少年を騙して、犯して、薬づけにして、売春させてたんだぜ」 それはまるでテレビでニュースを聞くのと同じように、どこか他人事のようだった。 そんな俺の表情を見て、大和達は愉しそうに笑う。 「ひでー話だろ。その子、まだ中学生だったんだぜ。自分がゲイってこと親にも友達にも相談できなくて、ネットで知り合ったあの男が親身になって話を聞いてくれたんだってさ。それで相談に乗るふりして、呼び出されて騙されたんだ。薬を使って散々犯されて、それをネタに脅迫されて売春させられていたんだぜ」 「ンンッ……ンッ!!」 「嘘じゃねーよ。俺の知り合いの弟なんだからよ」 信じられなかった。身なりも綺麗にしていた普通の社会人に見えたのに……。 「あいつ結構、いい会社の社員なんだぜ。まったく、一般人の方がえげつないことするよな」 どうして……そうなら、最初から説明してくれば俺だって……。 「あんたは最初から、俺達が悪者だって決めて掛かってただろ」 なにも反論できなかった。 「まあ別に、そう思ってるのはあんただけじゃねーし、別に理解なんてして欲しくもねーんだけど、あんたが自分の正義を振り翳すのは勝手だけど、俺達にも俺達なりの正義があるわけだ」 「目には目を歯には歯をってね。だから、あいつも薬つかって散々犯してやろうと思ってたのに……」 タツキの言葉に俺の頭は真っ白になる。 「はっきり言って、俺の怒りはそれでも収まらねーんだけどな」 「大和、喋り過ぎだ」 司の冷ややかな怒声が響く。 「ちゅーわけだ。なにも知らないあんたはちょっと可哀想だが……司を怒らせた自分を後悔しな」 ブツと音を立てて、皮のベルトが切り取られた。
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