Real

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「けど、隆一だって止めろっていいながら、最後の方は自分から腰振ってアンアンって可愛く……痛っ」

 最後まで言い終わるまでに大和を蹴ってやった。

「そんな恥ずかしいこと口にすんなって言ってんだろ」

「なんで、別に恥ずかしがることねーのに。ってか、あんな散々いやらしいとこ曝しておいて今さらなに恥ずかしがっていやがるのか……」

「バ〜カ、俺はお前と違って繊細なんだ。日本人なら羞恥心ってものを知れ」

「あ〜まったく可愛くねーな。あんまり可愛くない口は塞いじまうぞ」

 言いなが大和は俺の二の腕を掴むと、力任せにひっぱった。

 倒れ込むと同時に、抵抗する間もなく口づけられる。

 大和のキスは相変わらず荒々しい。けれど、最初はあれほど嫌だったはずなのに、今は当たり前のように受け止めている。

 そして一方的だった行為も、俺自身が答え始めてから、随分優しくなったのも感じている。

 今はもう大和のキスが嫌いじゃなかった。

 まるで獰猛な獣に懐かれたような、そんな感じがした。

 大和が自分に甘えているのだと、そう思える瞬間があって、そんな彼を可愛いと思ってしまう。

 深く舌を絡められ、キツク吸われて、互いの柔らかな粘膜を擦りつける。そんな行為がどうして、こんなに心地よいと感じてしまうのだろう?

 口脣が離れても、大和の顔が間近にあった。

 目も鼻も口も、全てがくっきりと強調している。整っているのにどこか野性的で、中でも切れ上がった目はなによりも力強く印象的だ。

 一度目にしてしまったら、視線を外すことができない。

「隆一……」

 そんな目で、そんな声で、俺の名前を呼ぶな。

 捕まってしまいそうだった。

 大和の手がシャツの中へと滑り込む。

 流されそうになる自分を必死で押さえ込んだ。

 俺は大和の手を掴む。

「大和……頼みがあるんだ」

「OK! どんな体位でもお望みのままに」

「馬鹿、ちゃかすなよ」

 大和は戯けるように肩をすくめた。

「俺……大学に行きたい」

 そう言った瞬間、サッと大和の顔色が変わる。

「ダメだ」

 強張った大和の表情が、彼の頑な意思を伝えていた。

 俺は彼の頬に触れた。

「ちゃんと大和の元に戻ってくる、約束する。いつまでもここに閉じこもっているわけにはいかないだろ」

「ダメだ。隆一がいないと俺が寂しい……」

 まるで捨てられた子犬のような瞳に一瞬胸が詰まる。

 そんな大和をちょっと可愛いと思ってしまった自分にビックリだ。

「そ……そんな子供みたいな我侭言うなよ」

「だって俺、まだガキだし」

 ニヤリと笑う大和は、かなり太々しい。

「お前のどこがガキなんだ。都合のいい時だけガキを振り翳すんじゃない」  

「まあ、それがガキの特権ってやつじゃねーの」

 確信犯は質が悪い。まあ、大和がいい性格してるのは今さらだけど。
 
 っていうか、話がずれているよな。

「とにかく、明日から俺は大学に行きたい。行かせてくれよ、大和」

 大和がまっすぐな視線を俺に向ける。俺もそれに答えるように大和の目をじっと見つめた。

 こうゆうの目で語るっていうのだろうか。

 いや、語り合うというようり、これは分析されているような気分だ。

 


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