Real

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「ちぇっ、しょうがねーな……いいぜ。隆一って意外と頑固だし、どうせ言い出したら聞かないんだろ」

 あまりにもあっさりとお許しが出たので、かなり驚いた。

「いいのか?」

「なんて間抜けた顔してんだよ」

 大和は笑いながら言った。
 きっと俺は大きく口を開けて、かなり馬鹿づらをしていたのだろう。

「そりゃ……最低でも三日ぐらいは掛かると思ってたからさ。あんまりあっさり承知するから気が抜けた」

「本音を言えば、一生ここに隆一を監禁しておきたい」

 手首をぎゅっと掴まれて、真剣な眼差しの大和が言った。

「でも……これはチャンスなんだろ。賭けるのは嫌いじゃねー」

 それを賭けと言ってしまうのが大和らしかった。
 
「それに俺も信じてみたくなった。いや……隆一を信じたい」

 俺は息を飲む。

 俺は知っている。大和がこんなことを言う人間ではないと言うことを。

 だららこそ、その想いが自分なんかには勿体無いように思えた。 

「だいぶお前に不利なんじゃねーの?」

 言いたいのはこんな言葉じゃない。
 だけど、そうでも言わないとどうにも落ち着かなかったのだ。

「いや、そんなことないぜ。俺って運を引き寄せる男だから」

「言ってろ」

 本当は随分ほだされている。
 
 強引で暴力的で社会性なんてちっともない男だ。とんでもないろくでなしなのに……。

 どうゆうわけか、嫌いになれない。
    
 とんでもない手段だったが、あれほど傷ついた心を癒せたのも大和のおかげとも言えなくもない。

 理性も吹っ飛ぶようなグチャグチャなセックスのせいで落ち込んでいる暇さえなかった。

 絶対口が裂けてもありがとうなんて言わね−けど。

 でも、たぶん大和も変わったのだ。この三週間の間に。

 こんな柔らかな表情をいつの間にかするようになっていた。

「なんだ、俺があんまりいい男だからってジロジロ見んなよ。チンコ勃つじゃねーか。ってか誘ってんのか?」

「うわっ、股間押し付けるなっ!」

「なんかいつまで経ってもウブな反応。可愛いな隆一は」

 あーホント。年下の癖に可愛くねー。

「もう話はいいだろう。しようぜ」

 否応もなく大和がシャツを脱ぎ出した。
 
 俺に断る権利はないが……確かに最初から否と言うつもりもなかった。

 この三週間散々やりまくっていたのだ。大和の与えるセックスが凄く気持ちいいと俺は知ってしまった。

 躊躇なく俺も自分の服を脱ぐ。

 大和の口脣が首筋に触れる。指先が背筋を撫でて、俺はそれだけで官能に躯が震えた。

 こんなソファーの上で 当然のように情事におよぶ自分が信じられない。

 いや、この一ヶ月で俺の価値観は180度覆ってしまった。

 今では男に抱かれるのも、ソファーでセックスすることも、まだソファーでできるだけマシだと感じている自分自身が、まるで別人のようだと思った。

 クスリと思わず声を上げて笑ってしまい、大和に怪訝そうに顔を覗かれる。

「なにか可笑しいことでも?」

 拗ねるように口脣を尖らせる大和が年相応で可愛いと思う。

 とても穏やかなこの気持ちは一体なんなのだろう。

 俺は無性に大和に優しくしてやりたかった。

 そう思った俺は無意識に大和にキスをしていたのだ。

 気づいたら口脣が触れた後で、自分でもどうしてそんなことをしたのか口脣を離したあともわからなかった。

 だけど、俺よりももっと大和の方が驚いた顔をしていた。

「えっと……これはその、大学に行かせてくれるお礼……みないなもんだよ」

 と、慌てて取って付けたようなでまかせを言ってみた。

「へ〜、ふ〜ん、お礼ね」

 にんまりと含みのある笑顔を浮かべる大和は、すっかり別の意味に捉えているようだった。

「おい、違うからな。勘違いするなよ」

「別に〜。お礼だろ、お・れ・い」

 ニヤニヤと勝ち誇ったような笑みを浮かべる大和には、これ以上なにを言ってもからかわれるだけに違いない。 
   
「なんだよ、別に照れるなよ」

「照れてないっ」

「子供だな、隆一は」

 どっちがだっ!!

「まあ。お礼ならたっぷりこの躯で払ってくれればいいぜ」

 どうにも下品な受け答えに呆れながらも、結局のところ押し倒され、肌を合わせると、なにもかもがうやむやになってしまった。

 


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