誘拐

 02

 それならば、もう警察に頼るしかないのだが……。もし、犯人が貴哉を返すつもりが少しでもあるなら、できるだけ、ヤツを刺激することは避けたい。

 電話の様子では、今すぐ貴哉を殺すつもりはなさそうだった。
 それよりも、少しでも長く俺を苦しめたいのだろう。

 妻にも連絡をしなければならないと思い気鬱になる。
 自分のせいで貴哉が誘拐されたなど、どう言えばいいんだ……。

 ふいに内線が鳴った。秘書からの電話だった。智則宛に時間指定で宅配が送られてきたという。
 宛名のないそれは、間違いなく犯人から送られて来たものだろう。

 秘書から受け取ったDVDを、智則はノートパソコンに入れた。

 そこはどこかホテルのような場所だった。

「おい、ホントにこの子好きにしていいのかよ」

 それは知らない男の声だった。画面は暗くてよく見えない。

「ああ、どうしてくれてもかまわない。ただ初めてだから、あまり手荒なことはしないでやってくれ」

 犯人の声だった。

「まかせとけ、ちゃんと薬できめて良くしてやるから」
「俺ら、これでも優しいからさ」

 男達はゲラゲラと笑って、言葉に誠意の欠片もないことを教えていた。

「やっ……やめて下さいっ! 離してっ!」

 貴哉の声だった。
 男の一人が貴哉をベッドの上に放りなげた。
 四人の若い男達が貴哉を羽交い締めにする。

「さあ、これからオレ達と仲良く遊ぼうぜ」

 貴哉のシャツを力まかせに引き裂いて、ボタンが弾け飛ぶ。

「いやっ……なにするんだよ!」

「なにってナニに決まってんだろ」

 ギャハハッと男は下品な笑いをあげる。

「ボクは、今から皆に輪されるんだよ〜♪」
「わかる、セックスだよ、セックス。俺らのチンポが、お前の尻の孔をズッボズッボ犯すわけよ」
「うわー、てめー下品」
「ば〜か、お前の顔の方が下品だつーの」

 興奮気味に浮かれている男達に囲まれて、貴哉は蒼白な表情で震えていた。

 男達が貴哉のシャツやズボンを脱がしていく。

「いやっ……やめてっ……許してっ!」

 貴哉は必死で抵抗しようとするが、大の男四人を相手ではなんの威力もない。

 貴哉はあっと言う間に、靴下だけを残して、全てを毟り取られてしまった。

「さあ、貴哉君。助けて欲しかったらパパにお願いして。そうしたら、きっと大好きな貴哉君がこんな目に合っているのだから、すぐに助けに来てくれるよ」

 カメラを持っている犯人の男から声がした。
 智則は怒りのあまりに震えていた。

「パパっ……助けて、怖いよぉ……パパっ!」

 涙ぐみながら、貴哉は必死で智則に助けを求めていた。

「貴哉っ――――!!」

 思わず画面に向かって叫ぶ。
 できることなら、今すぐその場所に行って、我が子を助けてやりたい。

 だが……これはもうすでに過去の出来事で、智則にはどうしてやることもできないのだ。


/ / 戻る / Top