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顔合わせ
04 「そして彼が、我が社期待の新人営業マンの坂下友里くんだ」 そんな紹介をされ 、友里は更に恐縮するしかなかった。 「坂下友里です。宜しくお願いします」 まるで蛇に睨まれた蛙のごとく、挨拶をするのが精一杯だった。 三者三様であるが、やはり彼らの持つ独特な雰囲気に圧倒される。 「そう堅くなることはない。彼らの方こそ、君に会いたがっていたのだからね」 省吾の腕が友里の肩に回される。普段なら嬉しいはずなのに、今は混乱するばかりだ。 会いたがる……僕に? 彼らが仕事もできない新入社員に会いたがるどおりがないのだ。 それならば……。 「私は別に会いたいなんて言っとらん。だいたいこんな地味な男に本当にそんな価値があるのか?」 庄内の値踏みするような眼差しには、いかにも期待外れという思いを隠そうともしない。 「だから君は浅いというんだ。彼の漂わす色香を感じないのかい? 昔は散々自分の色事自慢をしていたくせに。もう今ではすっかり干上がってしまったわけか?」 松原の言葉が庄内は癪に触った。 「なにを、ワシは今でもバリバリの現役だ! 今も昔も大の女好きだぞ。だから衆道になんぞ興味がないだけじゃい」 「だからって未だに判を押したような若くて派手で見た目が綺麗な女ばかりありがたがっているようだから君は底が浅いんだよ。本当は最近食傷ぎみなんだろう。そりゃステーキや天婦羅ばかり食べてたら食あたりもするだろうよ」 「ステーキや天婦羅が好きでなにが悪いっ!」 二人が険悪に睨みあうのを、友里はおどおどと見ているだけしかできなかった。 「まるで子供のケンカですね」 有川の冷静なつぶやきで、二人ともバツが悪そうな表情になった。 「まあ、庄内には無理に付き合えとはいわないがな。我が社の新戦力の威力ぐらいは認知して貰いたいと思ってな」 省吾は苦笑いを浮かべながらそう言った。 「それで、彼は?」 有川が指したのは真田のことだった。 「彼は友里の上司でね。彼には別にやって貰うことがあって一緒に来て貰った」 真田は軽く頭を下げて三人に会釈する。 「あの……社長、私は一体なにを……」 友里の胸は不安でいっぱいだった。 「分っているだろう? 彼らに君の価値を見せつけてやるんだ」 耳元で囁く声は優しかった。 「そんなっ……ここでなんて……お許しください」 縋るように省吾を見つめる。ぎゅっと握った指先は酷く冷たかった。 「君ならできるさ。さあ、友里。まずは服を全部脱いで。君の綺麗な裸を彼らに見せてあげなさい」 省吾が言うことは絶対だった。 友里は絶望しながら、ジャケットを脱ぎ、ネクタイを外す。 全員の視線が自分に集まっている羞恥に目眩がしそうだった。 シャツのボタンが震えて外せない。 「もう……無理です。……許してください」 どうしてもシャツが脱げなかった。 こんな陽の当る明るい場所で、皆の前で全裸になるなんて堪えられなかった。 ← / → / 戻る / Top |