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試練 09 省吾の言う通り、様々な愛の形と言うものがあるのかもしれない。しかし友里には理解できないし、したいとも思わない。 無論、友里のその答えがでるはずもない。 それにいつのまにか省吾の姿も消えていた。どこに行ったのか捜そうとすると、仮面をつけた黒服の定員に、お連れのお客さんからですと、カードを差し出された。 そこには次の仕事の為に先に店から出たことと、これから一週間有川副社長の指示に従うということだけだった。 そこでようやく、友里は自分が有川の手に委ねられたことを知ったのだ。 今さっきの光景が脳裏に浮かぶ。するととたんに身体が震え出した。 大丈夫、省吾さんは彼と同じようなことはさせないと言っていた。 そう心の中で呟いてみても、湧き上がる不安が友里を襲う。 有川の声に友里の肩がビクッと跳ねる。 振り返るとそこに有川がいた。 「どうだい、私のショーは愉しんで貰えたかな?」 涼しげな笑みを浮かべて有川は尋ねる。 友里にとっては悪趣味以外のなにものでもないショーであるが、それを口にはするにははばかられる。 「フフッ、君にはまだ理解はできないかな?」 素直に頷く。 「なるほど、やはり君には躾が必要なようだ」 まるでなにかを見定めるような視線に友里は首筋にチリチリとした違和感を感じる。それはとても嫌な予感だった。 「わ…私には、あ、あんなことは無理です」 友里は右腕を強く掴む。震えが止まらなかった。 「よほど君にとってあのショーは過激だったようだね。安心したまえトーヤに与えたようことはしない。とりあえずこの一週間の間はね。痛みで押さえつけるような躾はしないと約束しよう」 「本当ですか?」 有川のポーカーフェースからは何も読み取ることは出来ない。 「信じなさい。そんなつまらない嘘を私はつかない」 「わかりました、信じます」 例え信じられなくても、友里はそれを拒絶できない。だが、闇雲に彼を疑うのは愚かなことだと思った。 「敏い子は嫌いじゃないよ。社長のお気に入りなのだから、頭が悪いとは思っていなかったけれどね」 「では、まずここでのルールを説明しよう」 少しだけ有川に気を許したと思えた考えは、直ぐに消え失せた。 「いいかい、ここで君を調教するのは私だ。今から君は裸になってこの首輪を付けてもらう。この首輪を付けた時から、君は私のスレイブだ。私のことはマスターと呼びなさい。私に逆らうことは許されない。ここでは君の人格など認められないし、逆らった時にはキツイ罰を与える。さっきも言ったように痛みで君を矯正することはしない。もちろん一週間後はちゃんと解放する。だが、君にとってかなり辛い一週間になるだろう。嫌だというなら止めてもいい。社長を失望させたいならそれでも構わないが、どうする?」 さっきの陰惨な風景が頭を過る。怖くてしょうがないけれど、省吾を失望させることはもっと嫌だった。 「逃げません……」 有川は頷くと首輪を友里に手渡す。 「君の決意を見せて貰おう。ここで服を脱いで首輪をつけなさい」 友里はシャツのボタンへと手を伸ばす。しかし意識しているわけではないのに、指先が震えてなかなかボタンが外せない。 どんなに頭で理解したつもりでいても、そんなに簡単に恐怖は拭えなかった。 「自分で服も脱げないのかな?」 有川の見下したような視線に怒りを覚える。どちらにしても自分に逃げ場がないのは確かなのだ。ならばせめて潔くなりたい。 友里は震えを無理矢理押さえ込んで服を全部脱ぎ捨て、手渡された首輪を着ける。 他人の目がある中で裸になるのは、恥ずかしくて惨めだった。 だけど、それを省吾が望むというなら、友里に逆らうことなど出来ないのだ。 「これで君は私のスレイブだ。さあ友里、躾の時間だよ」 有川は手に持ったムチを自分の手の平にパチンと叩き、ニヤリと凶悪に笑った。 *** 有川から与えられる調教は友里が思っていたものとは違うものだった。 有川から徹底的に与えられたもの、それは苦痛なほどの快感だった。 「はぁ…あっ、いやぁ……やぁああっ、もうっ、いやぁああっ」 友里の唇から漏れるのは熱い吐息といやらしい嬌声ばかりだ。 「もうやぁ、もうヤメてぇ────!!」 悲痛な叫びも男にはまるで聞こえていないようだった。
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