呼び出し
 15

「奥が疼いて、しょうがないんだろ?」

「そんな……どうして……」

 媚薬なんて使わなくても、省吾が求めてくれるなら、友里が拒むはずはなかった。

「お仕置きだって言っただろ」

 友里の頭に嫌な考えが浮かぶ。

「まさか、僕にこのまま耐えろと?」

 友里は真っ青な顔で尋ねた。
 それを聞いた省吾は、一瞬だけ間をおいて、大声で笑った。

「そうだと言ったらどうするんだ?」

 友里は顔を強張らせて、蒼白になった。

「省吾……さんが……そうしろと言うなら……僕は……」

 話ながら、友里の頬に一筋の涙が溢れた。

「お前は、本当に可愛いやつだな。冗談だよ。放置プレイというもの悪くはないが……今はまだ早すぎるようだ」

 ハハハッと高らかに笑う省吾に、友里は少しだけ、安堵した。

「友里を連れていきたい場所があってね。それまで少しばかり我慢しなさい」

 そう言って、省吾は真っ赤なワインを胃の中に流し込んだ。

 

 その店についた時、友里は自分で立つことさえままならなかった。

 どうやら薬の利き目が、友里には強すぎたようだった。

 省吾に支えられるようにして、入店したその店は、会員制のクラブで、その奥から地下に降りるフロアは、VIPと限られた店員しか入ることができなかった。

 フロアに入って友里は絶句した。薄暗い店内には仮面をつけた紳士淑女達と、彼らに奉仕する容姿端麗な男女がいた。

 彼らは秘所に薄絹を羽織っただけの姿で、仮面の男女に淫猥な行為を受けていた。

 彼らの中にはまだ年端もいかない少女や少年がいて、友里は驚いた。

「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」

 省吾に声を掛けて来た黒服の男は、三十半ばほどの上品そうな男性だった。

「やあ、マスター。今日は無理を言ったね。この子が話をした友里だよ」

「いえ、こちらこそ。いい余興を提供して頂きありがとうございます。こちらが例の。ええ、わかりました」

 二人の間で自分の名が出ていることに、友里は不安を隠せない。

 強張った表情で、二人を見つめる。

「友里、これからおまえにはショーにでて貰う。なにそう気負うことはない。お前はただ指示に従っていればいいだけなのだからね」

「ショー……そんな僕なんか……」

 この店の雰囲気で、ショーの内容がどんなものかは、想像できた。

 ただ恐怖ばかりが沸き上がる。

「そんなに怖がるもんじゃないよ。私が友里にそんな酷いことをすると思うか?」

 省吾は微笑んで、優しく頬を撫でる。

 省吾がどれほど残酷になれるか、友里にはなんとなくわかっていた。それでも、こうやって優しくされるとほだされてしまう。

「マスター達に素直に従うんだよ。私に失望などさせないね」

 友里はこくりと頷く。

「ああ、いい子だ。ちゃんとできたらご褒美をあげるよ」

 額に触れるだけのキスをされて、それだけで震えるほど嬉しかった。

「では、友里くんこちらに」

 マスターに促されて、友里は省吾と別れることになった。
 省吾が傍にいないことが、酷く心もとない。

 友里が後ろを振り向くと、省吾は背を向けて行ってしまった。不安と恐怖で折れてしまいそうな心を、必死で支える。

 省吾を失望させるわけにはいかなかった。

 ステージの暗幕の裏で友里は裸にされ、手枷を付けられて、天井から垂れる鎖に吊るされた。

 暗幕が開くと、スポットライトがいっせいに友里へと当てられる。

 大勢のどよめきと歓声。
 沢山の視線が自分に注がれることに、友里は消えてしまいたいほどの羞恥に震えた。

 後ろから屈強な男の手が伸びてきて、友里の膝の裏をすくった。

 

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