迷走

 02

 乳首よりも、ペニスよりも、もっと鮮烈な快感を得る場所を、僕は知ってしまった。

 もう、我慢できないよ。

 僕は指を口に含んだ。

「はぁ……ん……」

 指をしゃぶってたっぷりと唾液で湿らせる。

 それだけなのに、僕は更に興奮してきた。

 ジュブジュブと唾液が水音をたてる。

 指に当る舌の感触さえ、僕をいやらしい気持ちにさせる。

「はぁ……んっ……」

 欲しい、欲しいよぉ……。

 頭がボーっとしてきて、欲情が僕を支配する。

 僕は躯を折り曲げ、普段は触れたくもない、不浄な場所へと指を伸ばした。

 固く閉ざされた蕾に触れるとズクリと奥が疼いた。

 ああ……もう、ダメ……。

 窄みの中に指を埋める。ゾワゾワと肌が粟立った。

 もう少し……あと、もう少し。

 襞を広げるように、指を回しながら奥に進める。

 僕の躯は期待でペニスの先から雫を溢れさせている。

 ようやくたどりついた場所に触れると、まるで感電したように快感が躯を突き抜けた。

「あぁあっ!!」

 求めていた刺激が与えられて、僕の躯が歓喜する。

「悦いっ……アアッ……イイッ……」

 思考も全て攫っていく法悦に、僕の理性は簡単に決壊した。

 一本だった指がいつのまにかニ本に増え、それだけでは足らずに三本にまで増えた。

 ジュプジュプと音が立つのも気に止めず、ひたすら排泄する場所を指で擦り付ける。

「アアッ……ひぃん……あっ、あぁあっ!」

 いつの間にか、僕はあの人に犯されるのを想像しながら、指を動かしていた。

 言葉づかいは優しくて丁寧なのに、行為は激しくて、怖いぐらいの感情を僕にぶつけてくる。

「はあっ、ンッ……ダメッ、そこぉ……ああっ……」

 あの人の熱い昂りが中を抉るのと同じように、僕は指を動かす。

 すでに僕の肉筒は、女性器のように擦られるだけで快感を得ていた。

 どれほど頭の中で抵抗しても、この躯が淫らに作り変えられたことは、ここで快感を得る度に思い知らされる。

 惨めで、屈辱的で、情けなくて、涙が出る。

 だけど、それでも僕の指は止まらなかった。

 あまりの悦楽に口の端から唾液が溢れる。

「アァッ……悦くっ……イッちゃうっ……」

 凄まじいほどの快感が、指が擦れるソコから沸き上がる。

「イイッ……アァアッ……イクっ……あひっ……アァアアッ!!」

 濁流のようなオーガズムの波に教われて、癲癇のように躯がヒクヒクと痙攣する。

 触れてもいないのに性器から白濁が吐き出されていた。

 全てを忘れてしまうほど気持ちよかった。

 だけど快感の余韻は瞬く間に薄れ、それとともに次第に罪悪感が強くなる。

 僕の躯はおかしい。
 お尻で気持ちよくなるなんて……。

 僕はきっと変態なんだ。
 いやらしくて、どうしようもなく穢れている。

「ううっ……うえっ……ううっ……」

 哀しくて苦しかった。

 誰か助けて……。

 パパ……ママ……。

 だけど、僕はこんな恥ずかしいことを誰にも相談することはできなかった。

 僕は自分のいやらしい躯をまるめて、抱きしめるようにして泣くしかなかった。




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