Blue

 12

 あの夜から、泰典は毎晩、彬也の躯を求めた。

 挿入の恐怖は躯を重ねるうちに薄れ、感覚だけは鋭く敏感になって快楽に溺れていく。

 養父とのセックスはまるで麻薬のように、重ねれば重ねるほど、次が欲しくなった。

 泰典を見るだけで、躯の奥が疼いてしまう。
 まるで中毒のようだった。
 
 学校から帰ると、まず直腸を洗浄する。その後、風呂にはいって、自ら首輪をつけた。

 苦痛と屈辱に思っていた、その行為も、今はそれほど嫌悪は湧かない。

 いやそれどころか、まるでこの首輪が泰典のものだという証明のようで、安心する。

 その後、ローションをつけて、自分でアナルを弄る。こうやって慣しておけば、いつでも泰典に抱いて貰えるからだ。

 最近では指では物足りなくて、以前貰ったアナルパールを自分で入れて、乳首を摘む。

 きゅっと指先に力を入れて、芯をコリコリと揉むと、蕩けそうな快感が湧く。

「あんっ……おとーさん……」

 泰典に触れれていると思うと、更に快感が増す。

 乳首を弄ってるだけなのに、奥が疼いているせいか、孔が締め付けられて、前立腺をパールが押し上げていた。

「気持ちいいよぉ……んんっ……あぁ……」

 乳首を弄る手が止まらなかった。

「ダメっ……こんなっ……あぁあんっ……」

 こんな風に自ら快楽を貪ることは、いけないことだと思うのに、脳まで溶けそうな、この甘い痺れからは逃れられない。

 まだ未成熟な性器も、すでに型を変えて、先から透明な雫を垂らしていた。

「あんっ……らめっ……出したら、またお父さんに怒られちゃう……」

 またお仕置きとして、いやらしいことされちゃう……。

 わかっていても、ペニスに伸びる手を止めることはできなかった。

 片手で乳首を、もう片方でピンク色の亀頭を弄る。

「はぁんっ……気持ちぃ……あっん……んふぅ」

 お父さん……。

 優しい笑顔で、優しい声で。
『彬也……』と呼ぶ父を想像する。

 お父さん……。
 お父さん……。

「んぅんんっ……あっ……あぁあっ……」

 ペニスの先から先走りが溢れ、彬也の手を濡らす。

 擦るとヌチヌチと、いやらしい音がした。
 ハァハァと息を上げて、彬也は自分を慰める。

「はぁ……だめっ……達けないよぉ……」

 陰茎はいつ射精してもいいほど勃起しているのに、達するまでなにかが足りない……。

 彬也の手が後ろへと伸びる。
 アナルから、埋め込んだパールを引き抜く為のリングがぶら下がっていた。

 彬也はそれに指を引っかけて、ゆっくりと引き抜いていく。

 パールが襞を押し広げていく度に、ゾクゾクする快感に、口唇を戦慄かせた。

「あぁあんっ……イクっ……アッ……悦くっ……」

 ふるふると躯を震わせて、彬也は手の中に白濁を吐き出した。

 躯の中を狂おしいほどの快感が巡って……彬也はくったりと躯を弛緩させた。

「……達っちゃった……」

 お父さんに怒られちゃう。また淫乱だとか売女だとか罵られて、痛くて気持ち悦いお仕置きをされるのだ。

 泰典にされるのなら、それが辛いお仕置きだって我慢できる。

 だけど……。
 母親の代わりにされることだけは耐えられなかった。

 どうして……僕を見てくれないの。

 僕の方が、ずっとずっとお父さんのこと好きなのに……。  

 最初の晩だけでなく、泰典は達するとき、何度か奈菜と叫んだ。

 その度に、彬也は胸が裂けそうだった。

 泰典が、彬也ではなく、彬也の中に潜む母の面影を抱いているのだとわかっていた。

 まだ泰典が母を好きなことは知っている。

 それでも……ここにいるのは自分で。
 泰典が抱いているのは、母でなくて自分なのだ。

 母じゃなくて……自分を見て欲しい。

 だけど……どうしても言えなかった。

 泰典に否定されるのが怖かった。

 母の代わりでない自分などいらないと……。
 
 だって……。

 これまでだって、自分を欲しいと思ってくれる人などいなかったのだから……。

 


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