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Real 28 「裕志が朝来のケンジ達と揉めてんだよ」 裕志もケンジも俺より2つ下で、どうも前から因縁があるようで、顔を合わせると殴り合いってのも珍しくない。 「なんだ、そりゃいつものことだろうが」 基本、個人的な喧嘩は手を出さない。裕志は仲間だが、そうゆうことでは俺達は動かない。 「それが、ケンジ達が俊哉を拉致ったらしくてさ。裕志が一人でも殴り込むって暴れてんだよ」 俊哉は裕志の恋人だ。俊哉は俺達の仲間ではないが、何度か顔は合わせたことがある。 大人しい感じの普通の少年だった。 「俺らも舐められたものだよな」 口角だけを上げて、タツキが微笑む。 「生意気な子供にはちょっとばかりお灸を据えてやらねーとな」 馬鹿なやつらだ、薮だとおもったら、蛇どころか巨大な大蛇が潜んでいることに気づかず、ちょっかいを掛けまくっているとはな。 「どうせフラストレーションが堪りまくってんだろ。顔貸せよ」 タツキの言葉に否応はない。 久しぶりに気兼なく暴れられる。 「それで、あのお祭り男はどうしたんだ?」 こういう時、一番嬉々として現われる大和がいないらしい。 「それがこの一週間、まったくの消息不明。司はまだいろいろ噂には聞いてたけど、大和のやつは誰も見てないし、メールも電話も電源切ってやがるし、全くのお手上げ」 俺が知るかぎり、面倒見のいい大和が、音信不通だったことは一度もない。 「なんだそれ。あいつヤバいことに巻き込まれているんじゃねーか?」 「それはないな」 タツキが断言した。 「なんの策もなく危険に飛び込むような男じゃねーし、大和に危険が迫ってたなら一言ぐらい俺に知らせるはずだ」 その辺は、俺よりもずっと理解しているのだろう。 嘘かホントか、大和もタツキも幼稚園から大学まである某有名私立校の同級生だとかなんとか……。 あまり興味がないので、本人達に聞いたことはないが。 「どうせ、忘れているだけだ」 「……」 タツキの思わない一言に、思わず眉を顰める。 「滅多にないんだけどさ。アイツ、一つのことにハマるとそれに夢中になる時があるんだよ。喰うのも寝るのも忘れるぐらい」 確かにあいつの集中力は凄いものがあるのは知ってる。というか、垣間見たことは何度かあった。
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