|
Real 29 だったら、あの48時間ぶっ続けでバイクを走らせたって言う眉唾ものの噂も本当だってことか? 「今回、大和は宛になりそうもないからな、お前を必死で捜したんだよ」 「それでお前がパシリみたいなことをしているわけか?」 「つーか、アル中のお前に誰も怖くて声なんか掛けられねーって苦情がきたんだよ。お前、どんだけ殺気立ってたかわかってるのか?」 俺は不敵な微笑を浮かべた。 「自覚はあるって? 確信犯かよ」 兄の記憶を消せるなら、なんでもいいんだ俺は。 「俺をパシリにした貸しは大きいぞ」 「まかしておけ」 今の俺には怖いものはない。 「馬鹿だな……お前」 ボソリとタツキが呟いた。 怒号、悲鳴、阿鼻叫喚。 容赦はしない。 最初の一撃を紙一重でよけたつもりだったが、薄皮一枚でよけ切れなかったらしい。俺の頬に朱色の線が走る。 親指で血を拭った。 べっとりとついた指先の赤い血を舐めると、鉄と生臭い味がする。 その瞬間に、スイッチがオンへと切り替わる。 血が沸騰して、たまらなく興奮する。駆り立てられる闘争本能が、俺を衝動へと突き上げる。 ドクドクと脈打つ鼓動が聞こえた。 相手の動きがまるでコマ送りのように見える。 ニ度目に振りげたナイフを持つ肘に左で軽く叩き落し、右で渾身のストレート。 バランスを崩したところで、ナイフを持った拳を踵で踏み付ける。 三度、体重を掛けた足で踏んでやると、男はナイフを離した。 直ぐさま、それを取り上げる。 「お前ら見たいなガキがこんな危ない玩具を持つには百年早ぇーんだよ」 ナイフの切っ先を少年の目の前に向けると、青ざめた顔で震えていた。 こんな道具を持ったぐらいで強くなった気になってるようなやつはただの馬鹿だ。 「たっ……助けてくれっ」 それが諸刃の剣だとは思ってもいない。 「こんなものが怖いなら、最初ッから持つんじゃねー」 振り上げて耳のすぐ側で振り下ろした。 少年はヒッと情けない声を上げ、股間を濡らす。 耳たぶを少し切ったぐらいでなさけない。 根性も度胸もなにもないやつらだ。
← / → / 戻る / Top |