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Real 31 「司っ、お前大丈夫かっ!」 フラリと立ち眩みを起こす。 「それで……あいつはいつからいなくなったか言ってたか?」 「ああ、二週間前からだってさ。大学にも行ってないらしいぜ」 二週間……ふらりとどこかに出かけるような長さではない。 まさか、自殺────。 まるでギュッと絞られているみたいに心臓が痛くなった。 「お前、顔色真っ青だぞ」 まさか、隆一にかぎって自殺なんかするはずない。 いや……同性愛をあれほど嫌悪していたのだ。 あんな何人もの男に犯されて、平然としていられるわけがない。 もし……隆一が自殺したなら、殺したのは俺だ。 俺が隆一を殺した? 全身の血が失せたように、ゾッとするほどの寒気を感じた。 まるで真冬の夜に冷たい海の中に放り込まれたような恐怖。 「おい、司っ! 聞こえてるのかっ!」 隆一がいない……。 俺の根底が崩れていく。 全てが暗闇に包まれていくような気がした。 「おい、しっかりしろっ!」 頬に激しい衝撃と痛みを感じた。 「なにも兄貴が自殺したって決まったわけじゃねーんだろ。もしかして、なんかの事件に巻き込まれたかもしれないんだ。お前がそんなに動揺してどうなる」 タツキの声にハッと我に返る。 そうだ、まだ隆一が死んだとは限らない。 「どうやら目が醒めたようだな」 「ああ、悪かった」 「お前もまだまだガキだな」 「タツキに比べたら皆ガキだろう」 「そうゆう意味じゃねー。自分でしでかしたことのケツも拭けないようでは、まだまだ半人前ってことだよ」 返す言葉もない。 「そんなに執着してんなら、自分で犯せば良かっただろうが。わざわざ俺等に犯させるなんて趣味が悪い」 と言いながら、俺自身は愉しかったけどなとタツキは付け加えた。 「あれは、そうゆうんじゃねーんだよ」 隆一を抱いたりしたら、余計に執着は増すだろう。あれは、執着を断ち切る為の儀式だったのだ。 まったくもって大失敗だったが。 「ったく、お前はどうしようもなく馬鹿だな」 本当に、自分でもこんなに馬鹿だとは知らなかった。 自嘲する俺をタツキは呆れたように見る。 「しょうがねー兄貴の居場所、俺も捜してやるよ」 「どうゆう風の吹き回しだ?」 タツキはお節介だとか人の世話を焼くような人間ではない。 「ちょっとな、俺も気になることがあるんだよ」 「俺の兄貴のことがか?」 「いや別方向でだが、もしかして繋がってるのかと思ってな」 タツキの言っている意味が良く分からない。 「なんだ、それ」 「今はただの憶測だからな。余計なことは言わないことにする。ただはっきりしらた連絡する」 「ああ、頼む」 タツキの情報網は広い。外国の政治から地元のローカルネタまで、どうゆう経路か知らないが仕入れてくる。 いざって言う時、情報っていうのが一番重要になってくるんだぜ。というのがタツキの持論だ。 いざとなれば、やはり頼りになる男だった。 俺は久しぶりに、自分の自我が覚醒していくのを感じていた。
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