Real

 33

 隆一……。

 この部屋でずっとこもっていたのだろう。
 
 どんな気持ちで、ずっとこの部屋に引きこもっていたのか……想像してだけで胸が痛む。

 すべて俺自身が起こした結果だった。 

 床に膝を付き、隆一のベッドに額をつける。

 微かに隆一の匂いがした。

 リュウイチ……。

 深く深く、胸を抉るような痛み。

 今、どこにいるんだ兄さん────。

 騒ぐ胸とは裏腹に、どうすることもできない自分に苛立つ。

 自分の力の無さを思い知らされる。

 隆一……どうか生きていてくれ────。

 胸を掻きむしるような思いで、俺は祈ることしかできなかった。

 ***

 それはまさに獣のように、淫虐のかぎりをつくされた爛れた日々だった。

 大和の要求は苛烈だった。
 
 俺はずっとこの部屋に監禁されている。寝て起きて犯されて、ご飯を食べて、また犯される。

 そんな日々の繰返しだった。
 
 自尊心や羞恥心を保てていたのは最初の一日だけだった。

 乳首やアナルだけでなく、内股の付け根や、脇腹や鎖骨まで自分の性感帯なのだと教えられた。
 
 大和という強大なハリケーンの前では、俺はただ風に舞うだけの木の葉だった。

 監禁されて一週間、俺は自分がまるで生きたダッチワイフ思えて、どうしようもなく苦しくて、大和が買い物に出かけた隙に逃げようとした。

 扉を開けた瞬間に、帰ってきた大和と鉢合わせになり、俺の逃亡は一瞬の間についえてしまたった。

 だが、逃亡に失敗した悔しさより、その時の大和の凄まじい怒りに俺は恐怖した。

「俺から逃げようなんて、いい根性してるじゃねーか」

 表情はまるで能面のように硬く冷たくて、それでいて瞳だけが燃えるように熱かった。

 大和は俺の髪を鷲掴みにして乱暴に部屋の中に引きずっていく。

 まるで頭皮が剥がれ落ちそうな痛みと、これから起こることへの恐怖に俺はパニッくった。

「ヤメッ……痛いっ!……大和っ、痛いっ!!」

 俺の声に大和の手が緩むことはない。

 ベッドに押し付けられて、両腕を後ろ手に括られて、次に目隠しをされた。

 俺はガタガタと震えるほど恐怖した。

 次は椅子の上に縛られて、大きく広げられて固定される。

「大和っ……頼むっ、もう逃げないから……ゆ、許してっ……」

「ふ〜ん、隆一も自分が悪いって思ってるわけ?」

 耳から聞く、大和の声は普段と比べて随分と抑揚のないものだった。

「わっ……悪いと思ってる……だから……ゆ、ゆ、許して……ください……」

 大和が堪らなく怖かった。

「悪いことしたなら、お仕置きされて当たり前だよな」

「あああ……」

 震えで声にならなかった。

「やっぱり、ちょっと甘やかせ過ぎたかな。こうゆうのホントは好きじゃねーんだけど……でも、もう二度と、隆一が俺から逃げようなんて思わないようにしねーとな」 
 
 キュッキュッと微かにガラスの擦れるような音がした。
 そのあとに、ツンと鼻に突くような刺激臭がする。

 それがなにかはわからないが、酷く嫌な予感がした。

 


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