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Real 50 突然鳴り始めたバイクのエンジン音に、俺は無意識に振り返る。 顔は全く見えなかったが、黒のライダーズジャケットとそのバイクの機体に俺は見覚えがあった。 間違い無いと思った。 俺は思わず弟の名を叫ぶ。 すると、走り始めていたバイクが急に止まった。 その瞬間、後方から走っていた軽トラックが急ブレーキを踏む。 キキキキィ────ッ!! 空をつんざくようなタイヤの軋む音。 バイクを避けようとした軽トラが、ハンドルを左切ったが間に合わず、車体はそのままバイクに突っ込んだ。 車とバイクが接触した瞬間、バイクに乗っていた男が宙に舞うのを俺ははっきりと見ていた。 まるで映画のコマ送りのようにゆっくりと弧を描いて、10mほど先の路駐している車のボンネットにぶつかりワンバウンドしてから道路に投げ出された。 まるで永遠のように長くに感じた一瞬に、俺の思考はなにも考えることができなくてストップしたままだ。 「おい、誰か人が引かれたぞ!」 「救急車っ、誰か救急車を呼べっ!」 誰かの叫び声で、俺は我に返った。 「司……」 フルフェイスのメットのせいで顔はよく見えなかったが、俺にはそれが自分の弟だと確信していた。 車と衝突しそうな瞬間、バイクの男は一瞬こちらを振り返ったのだ。 「司っ……司っ……」 俺はよろよろと力の入らない足で、男に近寄って行く。 既に人だかりが出来ていたが、俺は押し退けて男へと近づく。 「司っ!……司っ!」 呼んでも、男はなんの反応もしなかった。 彼の右足は逆の方向に曲がっている。それを見た瞬間、ガクリと地面にへたりこむ。 足に力が入らない。どうやって立ったらいいのかさえ分からない。 体中を恐怖が襲う。ガクガクと震えが止まらなかった。 怖くてしかたが無かったが、それでも確かめなくてはならなかった。 這いながら男へと近づく。 「あぁあああっ……」 咽から悲鳴のような嗚咽が漏れる。 血塗れであっても、見間違うはずがない。 「嫌だ……司っ……どうしてっ……」 ヘルメットを取ろうとして、知らない人に止められた。 「頭を打ってるなら触らないほうがいい」 訳がわからなかった。 突然、司が現われて、そして今、自分の目の前で彼は死にそうになっている。 どうしても理解できなかった。 「嫌だっ……嘘だろう。司っ、起きろよっ……俺のこと嫌いだっていいから……頼むから起きてくれ……」 何度も司の名を呼んだ。 だが、司は目を覚まさないままで、気がづくとアスファルトが血に濡れていた。 あの一瞬がプレイバックする。 あの時、俺が名前なんて呼ばなかったら……。 「うわぁああああああ────っ!!」 まるで頭の中がショートしたみたいに、突然ブラックアウトした。
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