治療
複数×少年
無理矢理,調教
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01
「まず、深呼吸して……そう、だんだんと躯の力を抜いて……」
僕の目の前にいるのは染谷先生。有名な心療内科の先生だ。
僕は中学受験のストレスで、不眠症になった。それから軽い鬱に掛かって、ママに薦められて、この診療内科に通い始めた。
染谷先生は特に催眠療法で沢山の人を治療してきた権威のある先生で、普通なら一年前から予約しても、診て貰えるかどうかもわからないというほど、凄い先生なのだとママは言っていた。
「リラックスして……もっと力を抜いて……」
だけど……僕はあまり染谷先生が好きじゃない。
先生は背も小さいし、ちょっと太っていて、お腹も出てて、顔もあんまりかっこよくない。
僕のお父さんより一才年下らしいけど、十才ぐらい年上に見える。
着ている服や時計も、僕でも知っているような有名なブランドものだけど、全然似合ってない。
だけど、本当に一番嫌いなのは、染谷先生の目だ。
先生はいつも優しそうな笑顔を浮かべているけど、時折すごくねっとりした視線で僕を見つめてる。
全然、瞬きとかしてなくて、ジーッと見つめるその目が凄く怖い。
だから本当は先生の治療を受けたくないんだけど、ママがいろんな人に頭を下げて、染谷先生に治療して貰えることになったって嬉しそうに言うから、僕は嫌だって言えないでいる。
「この指の動きをゆっくり目で追ってごらん」
ゆっくりと僕の目の前に動く指先を僕は見つめる。
まるでメトロノームのように、単一のリズムで左右に動く先生の指先を見ていると気が遠くなる。
「じゃあ数を数えるからね。十まで数えたら催眠状態になるからね」
先生の数を数える声がまるで遠くから聞こえているようだった。
「……はち……きゅう……じゅう。さあ、これで催眠状態になったはずだよ」
先生はそう言うが、僕は別に催眠状態になっている自覚はなかった。
先生の治療は何度も受けているが、何故かいつも記憶は曖昧でよく覚えていなかった。
なんとなく治療を受けた感じはするのだけど、内容がよく思い出せない。
先生は僕の真相心理の深いところを探っているからだと言っていたけれど……。
治療の成果はあまり進んでいるようには思えないし、先生の治療を受けた後はいつも躯がだるくなるのも嫌だった。
だから本当は止めたいんだけど、ママのことを考えるとやはり言い出せなかった。
「先生……別に変わっていないです」
「そんなことないよ。嘘だと思うなら、椅子から起き上がってごらん」
そんなの簡単だ。僕はいつものように躯を起こそうとした。
だけど……僕の躯は指先ひとつでさえ動かすことができない。
嘘っ……どうなってるのっ!!
僕は酷く焦った。
「ほら、全然動かせないだろう」
先生は当然といったように微笑む。
「次は右手が勝手に動くよ。手を前方に上げて」
僕は動かすつもりもないのに、本当に勝手に右手が動いた。
「次も左手も同じように前に」
先生の言うがままに、僕の手が動く。
「嘘っ……やだっ!」
自分の躯なのに、自分の力で動かせないことがこんなに怖いことなんて初めて知った。
「先生……もう、止めて怖いよ」
僕は怯えて、先生に頼んだ。
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