呼び出し
中年×青年
接待続編 玩具,拘束,公開陵辱,微スカ
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01
「坂下、社長がお呼びだ。すぐに社長室に行ってくれ」
そう主任の真田から言われたのは、もう終業も間際という時間だった。
社長なんて、それこそ入社の挨拶で遠くから見て以来、見かけたことすらなかった。
「きっと、今回の契約について労ってくれるんだろう」
真田はやけに機嫌がいい。
だが、友里は酷く複雑な気分だった。
あの契約は自分の力などではなかった。騙されて、勝手に躯を弄ばれて、その代償に得たようなものだ。
友里にとっては自慢するどころか恥ずべきことだった。
社長に労って貰うどころか、本当のところを知られれば会社を辞めさせられるかもしれない……。
友里の足取りは石のように重かった。
通された社長室は驚くほど広く、豪華だった。その応接セットでさえ、軽く友里の部屋以上ある。
こちらにどうぞと秘書に座るように促されて、友里はその皮張りのソファーに腰を掛けた。
緊張のままに友里は座って、社長を待った。秘書が紅茶を出してくれたが、とても飲むような余裕はない。
しかし、それほど間を空けず、奥の部屋から社長が姿を現した。
「わざわざ仕事中、呼び出してすまないね」
柔らかで丁寧な言葉が、想像と違っていて、友里は驚いた。
「い、いえっ、もう作業はほとんど終っていましたので、大丈夫です」
緊張しすぎて自分がなにを言っているかよくわからなかった。
「そんなに緊張しなくていいよ。とって喰おうってわけじゃないからな」
そう冗談を言って笑う社長は、何千という社員を束ねているカリスマ社長とは思えないほど、気さくな感じだった。
友里はもっと怖くて堅苦しい人を想像していたのだ。
「総研との契約、昨日正式に交わしたらしいね」
やはりその話題かと、友里の気分は沈んだ。
「いえ、私だけの力だけではありませんから」
「なに、謙遜することはない。田島も真田も、坂下はよくやったと褒めていたぞ」
どうゆう経緯でそうゆう話が社長にまでいったのかはわからないが、友里にしてみれば、謙遜どころでなく苦い感情しかない。
「私はただ部長や主任に付き添っていただけですから、社長にわざわざお声を掛けて頂くことなどなにもありません」
先ほどまで笑みを浮かべていた社長が、困った表情をする。
「なるほど。坂下くんにとっては一億円の商談など喜ぶべきことではないということかな?」
社長の言葉に、友里は酷く焦った。
「そっ、そんなっ!……そんなこと思ってもいません。私はただ……」
慌てて言い訳しようとしても、言葉が浮かんでこない。困った友里の顔を見て、社長は突然笑い出した。
「なにもそんなに難く考えることないだろう。私だって入社一年目の君に、そんなプレッシャーを与えるつもりはないよ。君はまだ経験は浅いが、大きな商談に携わって、少なくとも君もそれに関わって、いい結果を残したことに代わりはない。それだけのことだよ。もっと素直に喜びなさい」
社長の言葉には不思議な力があった。自分が全て卑屈に考えていたようにも思えた。
とても喜ぶことはできそうにはないが、商談が成功したことまで、否定することはやめようと思った。
「わかりました。そうですね、微力ながらも力になれて嬉しいです。お言葉、ありがとうございました」
少しだけ友里は肩の力を抜くことができた。
「ようやく笑ったね。まあ、一息ついたところで、冷めないうちに紅茶でも飲みなさい。茶園からわざわざ送らせてるダージリンだ。コレは旨いよ」
社長の顔が気さくな笑顔に戻り、友里はホッとした。
安堵すると咽の乾きを覚える。きっとさっきまでかなり緊張していたせいだ。
友里は遠慮なく頂く事にした。
口に近づけたとたんに、甘く爽やかな香りがした。紅茶がこんなにいい香りだと初めて知った。
「美味しい……」
思わず口にしていた。今までのんだ事もないような上品な味だった。
「そうか、喜んで貰えてうれしいよ」
なんとなく変な気持ちだった。父親以上に年の離れた社長と、差し向かいで紅茶を啜っている現状は。
自分から話し掛けることもできず、友里はおいしい紅茶を黙って頂いた。
「そう言えば、高津からも連絡があってね。君には随分世話になったと言ってたよ」
今まで和んでいた気持ちが、その一言で、友里を心を一気に氷点下まで凍らせた。
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